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失業者のための解決策

キリスト教科学さきがけ』2010年04月 1日号より

Christian Science Sentinel, January 19 & 26, 2009


つい2~3年前まで、私が住んでいる地域は経済の原動力だと言われていた。多数の企業を引きつけ、多くの会社がこの土地に本部を設置し、地元の人々が、その卓越した資質は土地柄であると自慢するほど、すさまじい勢いで仕事を創出していた。ところが、今日、もしこの地方に何か特徴があるとすれば、それは何ともあわれなものに違いない。最近のある新聞の見出しが、地域の苦闘ぶりを如実に語っている:「かつては成長の原動力だったこの地が、今や、全米で失業率最高の街と化す」(ロサンゼルス・タイムス、2008年11月22日号)。

恐らく、私が住んでいる地域が国有林に囲まれ、人口密度が極度に低いためだろうが、都心部の憂うつを、あるいは、ぎりぎりの生活をしている失業者の群れを、日常的に目にすることはない。しかし、私の目線で見ても、あまりにも多くの人が苦境にあえいでいる。

地元の人々はこの状況を、悪い知らせの二重の打撃と見ている。国全体が経済の崩壊に見舞われているこの時、失業するには、まさに最悪の時期なのである。そしてまた、全米で最悪の失業率を訴えるこの地域は、職探しをするには最低の地域である、と。

しかし、これほどに悲観的な展望が、最後通告なのだろうか? とんでもない。私は、少なくとも一人の人間が、この憂うつをぬぐい去った証拠を実際に見ている。私は、数ヶ月のあいだ、仕事を求めているある知人を見守ってきた。彼女は、霊的な資源に頼っていた。聖書と『科学と健康』を日々勉強して、難攻不落と思われる障壁に挑戦していた。私たちは、数回、話し合った。その結果が現実に現れて、彼女は三重苦ともいえる苦境を、見事に克服したのである。つまり、職探しには最悪の時に、最悪の土地柄で、また、希望を託すには最悪の職種と思われる中で、見事にそれらを克服したのである。彼女は公務員として働きたいと願っていたが、彼女の求める職種の雇用はすでに凍結されていた。しかし、今、彼女は良い仕事に就いている。そして、彼女は本当にその仕事を楽しんでいる。霊的資源の活用と、特に祈りが、あの「三重苦」の一つ一つを克服させてくれたと、彼女は話してくれた。

私たちは、次のように推論した。正しい状況には、正しい場、正しい時、正しい技能が含まれるが、それは、すでに彼女のために用意されているということである。イエスはかつて弟子たちに、あなたがたのために、場所を用意しに行く、と言った(ヨハネ14:2 参照)。あのキリストの行なった用意は、全く霊的なものである。しかし、その善は、人間生活の中に実際に現れてくるのである。つまり、全く霊的であるキリスト的な行動は、人間生活のなかで心配な事柄、正しい場所、物事のタイミング、そして才能の必要などに、肯定的に働くのである。キリスト、つまり、が人間の意識に送るメッセージは、の息子や娘である一人一人に、立派に雇用されると期待できる良い知らせを、絶えず送っているのである。

という言葉をの同意語として使いながら、本誌『さきがけ』の創刊者メリー・ベーカー・エディは、次のように書いている:「は、それ自体の理念を創り出す建築家であり、そこに現れるすべてに調和を創出している」(Miscellaneous Writings 1883-1896, p.41)。考えてみてほしい。建築家は事務所を設計する際、昼食の場を、そこから10マイルも離れた場所に設定するようなことはしない。知恵は、物事が互いに正しい関係にあるように指示する。それがの設計であれば、なおさらのことであろう。人は、が与える能力と機会にぴったり合うように、存在しているのである。

私たちはさらに思考を深めていった。あなたは、が設計した理念である。しかし、は、単なるあなた以上のものを設計している。ある意味で、は、あなたの全生涯を設計しているのである。ただし、人間生活のあれこれについて言っているのではない。あなたは、によって、マンハッタンの北西部でピザの配達人になるとか、トヨタのCEOになるとか、に運命付けられているわけではない。しかし、は、あなたに、緻密さ、喜び、知恵、不屈の精神、調和など、霊的特質を与えている。このような特質は、あなたがそれを意識すればするほど、明るく輝いてくる。それらの特質が永久に活用されないなどということは、あり得ない。同様に、あなたが活用されないことも、あり得ない!このように理解することが、どんな結果をもたらすのだろうか? 私の友人の場合は、先に述べたように満足できる仕事がもたらされた。

しかし、時には、邪悪な力が人の足を引っ張り、成功を台無しにしてしまうと、感じることがある。では、どうしたらよいのか?聖書は、が次のように言ったと記録している:「わたしは食い滅ぼす者を、あなたがたのためにおさえて、あなたがたの地の産物を、滅ぼさないようにしよう」(マラキ3:11)。これは覚えておくに値する言葉であろう。あなたは、食い滅ぼされることはない。何ものも、あなたの喜び、知恵、不屈さ、希望、堅固さを、食い滅ぼすことはできない。それゆえ、何ものも、あなたの生涯の職業を奪い去ることはできないのである。が、あなたを支えている、そして、あなたを前進させる。あなたに備わるすべての善、あなたが宿すすべての善は、完全に実るのである。食い滅ぼす者とは、パウロの言う肉の思いであるが、今、それが、あなたが現すべき善を、消滅させることはできない(ローマ8:7参照)。この肉の思いは、脇に追いやられてしまう。あなたは、更に有用な存在になるように前進する、そして、その正しい報いを得るのである。


筆者のチャニング・ウオーカーは、本誌の編集委員を務め、また、キリスト教科学実践士であり、米国、カリフォルニア州、マウンテンセンターに在住している。

『さきがけ』の使命

1903年に、メリー・ベーカー・エディは、『キリスト教科学さきがけ』を創刊しました。その目的は、「真理の普遍的活動と有用性を宣言する」ことでした。ある辞書によると、『さきがけ』定義は「先発の使者」(先触れ、先駆け)ー 後に起こる事が近づいていることを告げるために先立って送られる者、使者」であり、『さきがけ』という名称に重要な意味を与えています。さらにまた、この定義は、私たちの義務を指し示しています。それは私たち一人一人に課せられた義務であって、私たちには、私たちの『さきがけ』がその責務を十分に果たしているか見届ける義務があるのです。この責務はキリストと不可分であって、まず初めに、イエスが、「全世界に出て行って、すべての造られたものに福音を宣べ伝えよ」(マルコ 16:15)と述べて、表明したものでした。

Mary Sands Lee (メリー・サンズ・リー)、Christian Science Sentinel, 1956年 7月 7日

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