私にはかつて、ファーストネームがLemuel(レムエル)という素晴らしい友人がいましたが、彼はその名前で呼ばれることをとても嫌がっていました。でも、友人がその名前のヘブライ語の本当の由来を知っていたら、考え直したかもしれません。ヘブライ語で “レムエル”は、「神のもとにいる」という特別な意味を持っています。聖書の「箴言」の最終章は、母親が息子のレムエル王に語りかける啓示の章です。王となった息子レムエルに、高い女性観を活気づけ、強め、支持する考え方を伝えています。これは現代社会で再び注目されているテーマであり、「神におり、神にある」という考え方を持つ人ならば、違和感なく受け入れることができるでしょう。
「箴言」の重要な最終章に記録されている言葉を紹介します。「だれが賢い妻を見つけることができるか、 彼女は宝石よりもすぐれて尊い。・・ 彼女は羊の毛や亜麻を求めて、 手ずから望みのように、それを仕上げる。・・ 彼女はまだ夜のあけぬうちに起きて、その家の者の食べ物を備え、 その女たちに日用の分を与える。 彼女は畑をよく考えてそれを買い、その手の働きの実をもって、ぶどう畑をつくり、・・彼女は口を開いて知恵を語る、 その舌にはいつくしみの教がある。 彼女は家の事をよくかえりみ、 怠りのかてを食べることをしない。 ・・その手の働きの実を彼女に与え、 その行いのために彼女を町の門でほめたたえよ。」箴言31:10, 13, 15, 16, 26, 27, 31.
ヘブライ語の原文によると、「徳の高い」女性とは、心身ともに強く、快活で、能力、実直さ、誠実さを備えた女性です。
この考え方は、「主なる神は人からとったあばら骨で女を造り」創世記2:22.という概念とは全く対照的です。ヘブライ語の原文では、あばら骨は「人間の側面」を示しています。女性が男性から取り出されたという考えは、女性の不完全さを示唆しており、女性は弱く、粘り強さがなく、簡単にあきらめてしまうという考えを助長しています。また、この「創世記」第2章の物語に由来した伝統的な考え方では、アダムを最初の人と見なし、イブをアダムの失墜の原因とし、その結果、人類が「楽園」から追放されたと非難しています。このような考え方を批判することなく受け入いれてきたことが、世界において何世紀にも渡り、女性の役割について多くの誤った考えを生んだ原因となったのです。
興味深いことに、聖書の最初の書物である「創世記」第1章では、女性についての最高レベルの見解が示されています。ここには、「神は自分のかたちに人を創造された。すなわち、神のかたちに創造し、男と女とに創造された」と書かれています。そして最後に、「神が造ったすべての物を見られたところ、それは、はなはだ良かった」と書かれています創世記1:27,31.。
神の映像である男性と女性には、強さ、知恵、バイタリティーなど男性的な資質と、愛情、温かさ、優しさなどの女性的な資質の両方が含まれています。
歴史を通じて、神の映像である人に内在する主権を感じ、それを表現した様々な女性がいます。その結果、彼女たちの人生は卓越したものとなりました。聖書の中では、ナオミ(ルツの義母)、デボラ、アビゲイル、イエスの母マリア、マグダラのマリア、ルデアなどが、「創世記」第1章の定義で述べられている女性としての高い理念を体現することで、さまざまな祝福を授けられました。また、18年間も病気の霊につかれて、かがんだままで、からだを伸ばすことが全くできない女性に向かって、イエスが、「女よ、あなたの病気は治った」と言ったとき、そのような考えを持っていたのでしょう。この文章の中の「女」は、おそらく「引き起こされる」という意味のギリシャ語の動詞に由来しています。また、「存在を受ける」者は、「造られる、行われ、完成し」、「祝福された」のです。聖書に「・・すると立ちどころに、そのからだがまっすぐになり、そして神をたたえはじめた」と書かれているのも不思議ではありません。ルカ13:12-13.
「創世記」の第1章では、至上の女性観が示されているのです。
今まで男性の仕事であると思われてきた分野で、女性が高い地位に就き偉業を成し遂げるため、忍耐強く諦めずに目標を達成することは珍しいことだと思われていました。しかし、「創世記」第1章の天地創造の記述を考慮すると、神の任命、神の指名、神の命名を女性が経験することは、正しく、非常に自然なことなのです。女性の中には、自分を呼ぶ神の声を聞いたと証言する人もいます。ジャンヌダルクはその一例であり、この神の呼びかけにたゆまず従った彼女の人生は、多くの人々の模範となっています。
科学者キリスト教会を創設し、また本誌を創刊したメリー・ベーカー・エディは、自伝の中で、8歳くらいの時、自分の名前を3回、次第に大きくなる声で、はっきりと呼ぶ声を繰り返し聞いたと語っています。彼女は母親が呼んでいると思ったのですが、母親は呼んでないと言いました。ある日、遊びに来ていた従姉妹もその声を聞いて、彼女もメリーのお母さんが呼んでいると思ったそうです。メリーは母親のところに行き、呼ばれていないことを知りましたが、従姉妹も声を聞いたと説明しました。自伝にはこう続けています、「その夜、母は眠りにつく前に、サムエルが子供の時の聖書のお話を読んでくれました。そして、再び声がしたら、サムエルのように『主よ、お話しください。あなたのしもべは耳を傾けます』というのよ、と私に言ったのです。そして、声がまた聞こえてきたのですが、私は怖くて答えられず泣いてしまいました。そして、次にまた呼ばれたら、母に言われたようにしようと心に決め、神が私を許してくださるようにと祈りました。そして再び呼びかけがあったとき、私はサムエルの言葉を借りて答えました。その後 あの不思議な呼びかけが物質的な感覚で繰り返されることは二度とありませんでした」回顧と内省、p, 8, 9.。
メリー・ベーカー・エディの人生を特徴づけたのは不変で、絶えることもない愛でした。
保守主義と伝統主義の束縛は、歴史を通じて、しばしば女性の進歩を妨げてきました。しかし、神に由来する、神に承認された女性の真の本質を理解すると、これらの物質的な制限を打ち破ることができるのです。メリー・ベーカー・エディは、神に選ばれ、神に名前を呼ばれたことによって、「原始キリスト教と、その失われた癒しの要素を復帰させる」ことを目的に、私たちの「師イエスの言葉と業を記念するため立案された教会」を作るために強い抵抗にもめげず、忍耐強く、根気強く取り組むことができたのです『母教会の規範』、p.17.。彼女が自らの名前で呼ばれたという事実は、神から与えられた彼女の人生の目的を特徴づけるエネルギーとバイタリティの証明に違いありません。それは「. . . 実践的で効力のあるキリスト教科学の真の認識を、人類に印象づけること」『小品集』、p.207.です。彼女の代表的な著書である『科学と健康-付聖書の鍵』の中で、エディ夫人は自分の人生の目的と神との関係を認識し、次のように書いています。「神が、多年にわたり、慈しみをもって、わたしを準備してきたのは、この科学的、心的癒しの絶対なる神性原理が最終的に啓示されるとき、わたしがそれを受け入れることができるようにするためであった」『科学と健康』、p.107.。神が慈しみをもって、長年の間準備してきたので、彼女が神に忠実に従ったのは当然なことでした。
エディ夫人は、生徒たちを見守り、大切にし、正すことをあきらめませんでした。生徒たちの中には、道に迷い、エディ夫人、そして彼女の人生の目的を否定する者たちもいました。彼女の愛は粘り強く、絶えることのないものでした。神が示した、教会に必要なあらゆる側面を支える構造の理念を、不屈の精神をもって働くことにより実現しました。『科学と健康』の出版と普及活動にあたり、書店で本を販売する諸条件を決めることさえ、根気よく働きかけました。彼女はひたすら神に耳を傾け、それを言葉にし行動しました。彼女は「努力なしに卓越性は得られません。今こそ働くときです。右往左往することなく、神以外に起因する追求や喜びを求めず、粘り強く、絶え間なく、一途に努力することによってのみ、忠実な者の冠を勝ち取り、身につけることができるのです。」その後、一貫した神に基づく意識が人生に与える影響について、”Fidelity” (忠実)という同じ記事に次のように書いています、「偉大なる男性と女性の生涯は、忍耐と根気強さのなせる奇跡です。人間の偉大さを星座に例えるならば、輝く一つ一つの光は、偉大な人々であり、星のように暗闇から現れて、神の反射光とともに輝いているのです」『小品集』、p.340.。
メリー・ベーカー・エディの生涯は、まさに忍耐と不屈の奇跡でした。彼女の著者、『科学と健康』によって、神の霊的な法則すなわち、神性な科学、物質的な神学、神性な医学のパン種を、三斗の粉である、物質的な科学、物質的な神学、物質的な医学に入れるよう神に任命されたのです。イエスのたとえ話の一つにあるように、「天国は、パン種のようなものである。女がそれを取って三斗の粉の中に混ぜると、全体がふくらんでくる」のですマタイ 13:33. この文章にある最後の記述は、このパン種の持続的な使命を示しています。この神性のパン種が継続して働いていることを示す壮大な兆候が科学、神学、医学の分野に現れ続けています。
創世記第1章で、「男と女」は神によって創造され、神の権威の元に、神が形造ったものであると記されています。それゆえ神性なる起源と使命を実践し、効果的に証明することは、現代の男女の特権であり、決してあきらめてはならないことなのです。
J.アンソニー・ペリトンは寄稿編集者です。
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